サービスのreleaseということばに一抹の不自然さを感じる。
re-leaseは、再びーゆるめる、ということだから、
手放す、解き放つ、というニュアンスのあることばである。
近年用いられるdeployという言葉が持つ、臨戦態勢のニュアンスの方が
的確なのではないか、と思う。deployには、資源の最適配分、という語義が大元にあるようだ。
releaseが、手を離れて、消費者の手へ利用を委ねられるのに対し、
deploymentは、臨機応変に敵方の動きに応じて変化する必要がある。
道具としてのアプリケーションに、本来サービスが担うべき領域を
委ねることで、変化しなければならない部分や立体的な設計ができていない、
という問題である。
道具はreleaseして、利用者の手になじむまでつかってもらえばよい。
しかし、サービスはそうはいかないだろう。
そして、これは近年、リーンスタートアップが抱える、
大規模な展開を行わねば、提供できないサービスが明確になってきていることにも
通じるのではないか。
出版者による本による知識伝達が、
「安くよい情報を提供すればよい」というモラルに支配されるように、
その先にある、質的な体験までは、大量生産期の道具の製作者は手綱を持とうとはしてこなかった。
アプリケーションへのごく最近の一攫千金の野望も、同種のものであるかもしれない。
サービスと道具のあり方を考えることこそ、
質の高い体験を作り出す、唯一の鍵なのであり、
アプリが道具からサービスのひとつの、あるいは、複数のタッチポイントでしか
ないことが明らかになりつつあるのだ。
サービス・デザインの最も重要な特徴は、
サービスをリリースしたあとも、従来のサービスとは比較にならないほどの
強い関係性を維持し続ける必要がある、ということではないだろうか。
絶え間ない保守運営と細かい改造を得られるデータ(量的、質的)から
推測し行っていく。
これがovcaやwicked problemといわれる不確定で変化の多い時代の
サービス設計になろう、ということだ。
一方で、変化の少ない節目のサービスに関しては、
より固定的な枠組みでも通じるだろう、ということである。